はやかわクリニック リウマチについて 〜その1〜
1.リウマチとは?

リウマチとは関節を中心とした運動器の障害をきたす病気をいいます。
リウマチという言葉の語源は,ギリシャ語で”流れる“という言葉からきています。
当時は頭部で造られた体液が下のほうに流れ,関節付近で滞るために関節が痛くなって
腫れると考えられていたようです。

リウマチ性疾患のなかでもっとも患者さんが多いのは関節リウマチです。
この関節リウマチは膠原病(こうげんびょう)の一種です。
膠原病は全身の結合組織と血管に障害をきたし,多臓器病変を伴う慢性の炎症性疾患です。
膠原病といわれる病気には古典的な六つの疾患が含まれています。
全身性エリテマトーデス(SLE),全身性強皮症(SSc),多発性筋炎・皮膚筋炎(PM/DM),
関節リウマチ(RA),結節性多発動脈炎(PN),リウマチ熱(RF)の六つです。
このなかで,リウマチ熱だけは溶血性連鎖球菌の感染が原因であることが明らかとなり,
現在では膠原病から外すことが多くなっています。

この他に,膠原病類縁疾患として混合性結合組織病(MCTD),シェーグレン症候群(SS),
血管炎症候群(ウェジナー肉芽腫症,大動脈炎症候群,側頭動脈炎など),
ベーチェット病,抗リン脂質抗体症候群などがあります。

これらの膠原病の多くには自己抗体をはじめとする免疫異常がみられることから,
「自己免疫疾患」ともいわれます。
この免疫異常をきたす原因についてははっきり分かっていません。

当院ではこの関節リウマチを中心としたリウマチ性疾患の診療を行っています。
慢性で長期の闘病生活が必要なことが多いことから,患者さんとの信頼関係を築くことが
第一と考えております。
このため病状,治療法,副作用,予想される経過などについてできる限り
詳しく説明するよう努力しております。

2.リウマチの人はどのくらいいるの?男女差は?

関節リウマチは世界中に広く分布し,すべての民族に発症しうるといわれています。
日本における有病率は0.33%で,全国の患者数は約70万人と推定されています。
男女比は1:5で女性に多く,発症のピークは働き盛りである40〜60歳代です。
頻度は多くはありませんが,小児にもリウマチ性疾患がおきることがあります。

3.リウマチの原因は?

関節リウマチの明らかな原因はまだ不明です。
しかし,遺伝因子が3割,環境因子が7割を占めるといわれています。
遺伝病ではありませんが,生まれつき関節リウマチになりやすい体質は遺伝的に
受け継がれていくと考えられています。
遺伝子が同一である一卵性双生児の関節リウマチ発症一致率は12〜15%で,
二卵性双生児では3〜4%報告されています。
このことから,遺伝も関係はあるけれども,それだけではすべてを説明できないということになります。

また,女性に多いことから女性ホルモンに関連があるとの説もありますがはっきしていません。

環境因子で考えられているのは微生物感染です。
ウィルス感染(EBウィルス,レトロウィルス,パルボウィルスB19)や大腸菌感染などが
考えられてはいますが,確定的な証拠はありません。

4.リウマチはどうなるの?

関節リウマチに罹っても,すべての患者さんが関節変形をきたすわけではありません。
初期の関節リウマチの患者さんを5年間経過観察した報告によると,
20%は数年間のうちに自然軽快(単相型)し,70%は良くなったり悪くなったりしながら
徐々に骨破壊が進行(多相型)し,残りの10%は色々な治療に抵抗性で
数年のうちに車椅子の生活となる(進行型)とされています。

従来より関節破壊は比較的ゆっくりと進むと考えられ,早期診断の重要性が
あまり重要視されていませんでした。
しかし,近年の研究結果より関節破壊は発症早期,特に2年以内に進行することが明らかとなり,
早期診断・早期治療の重要性が改めて認識されています。

関節破壊が進みやすい因子として若年発症,リウマトイド因子 (リウマチ反応) 高値,
炎症反応(赤沈値,CRP)高値,20関節以上の腫れが挙げられています。
関節リウマチは直接生命に係わる病気ではありませんが,健常人と比較すると
感染症,呼吸器疾患,心疾患が多いとされています。

5.どうやって関節が障害されるの?

関節リウマチの原因はまだ明らかではありませんが,関節破壊が進む原因は
近年の研究によりかなり分かってきました。

関節リウマチの関節内には白血球の一種であるマクロファージやTリンパ球,
それに関節を覆っている滑膜細胞が増殖しています。
これらの細胞からサイトカインという物質が過剰に分泌されることにより炎症が惹起され,
軟骨・骨破壊が進むことが明らかにされてきました。

サイトカインとは種々の細胞から分泌される可溶性タンパク質で,
細胞間の情報伝達に関与している生理活性物質のことです。
関節リウマチでは炎症性サイトカインといわれる
TNFα,IL−1,IL−6が深く病態形成に関係しています。

そこで,近年これらのサイトカインを抑制することで関節リウマチを治療する画期的な
薬剤が登場しました。
それが生物学的製剤といわれるものです。
この分野に関する進歩はめざましく,今後次々に新しい薬が登場し,
実際に臨床で使用できるようになると思われます。

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